今回は元ちとせさんの歌声について書いていきたいと思います。
元ちとせさんと言えば、奄美大島出身の大人気シンガーですね。島唄の歌い手と言えば?と言われると必ず名前が上がるような歌声の持ち主ですね。
何と言ってもその歌声、歌唱力は圧倒的ですね。
一般の人が真似しようとしてもなかなかできないでしょうし、プロのシンガーが真似しようとしても難しい歌唱法を使いこなしていると思います。
あの歌声に心掴まれている方も多いのではないでしょうか。
どういう声質・声の出し方か
地声・話し声は低め〜やや低めの音域で、息の倍音の多い声質
地声・話し声の音域は低め〜やや低めくらいの音域ですね。
音域的に低め〜やや低めくらいの声帯を持っているように感じます。歌声と比べると低さの感じる声ですね。
声質は息の倍音の多い息系の声質です。
声帯の鳴りよりも息が先行するような息主体の声質です。若干ハスキーっぽい倍音が鳴っていますね。
共鳴は偏りのないフラットな感じですが、どちらかと言えば下方向主体の響きで話しています。
歌声は島唄民謡調の歌声
チェストボイス低中音域は地声。
息の倍音の多い息主体の発声を使うことが多いです。声帯をしっかりと鳴らすこともありますが、鳴り主体になることはあまり多くないように感じます。
軟口蓋や鼻腔に綺麗に共鳴させてやや丸みと空気感のある歌声を作り上げています。
これは全音域帯に言えることなのですが、特有の「こぶし」がフレーズのいたるところに入っています。
このこぶしは基本的に声区の切り替え(ファルセットへの切り替え)と同時におこないます。
瞬間的にファルセット・もしくはファルセットになりかけるくらいの声帯の状態に入れてそこから元に戻すというテクニックですね。
これは相当ファルセットを使いこなせてないとできないですし、切り替える速度も早くないとできないですし、ピッチ感が良くないと綺麗に聞こえないものです。
ミドルレンジ
中高音域(≒ミックスボイス)。
声帯の鳴りをやや強めた強い高音域の発声です。
そこまで多く使われる発声ではなく、基本的に高音域はするりとファルセットへ抜くことが多いように思います。
ファルセット
高音域はファルセット。
こぶしでファルセットを入れることはもちろんのこと、普通の高音域でも綺麗な息の倍音の多いファルセットを鳴らしています。
元ちとせさんの歌声の鍵はやはりファルセットによるこぶしですね。
どういう歌い方か
共鳴や音色
軟口蓋や鼻腔へやや丸みのある共鳴が綺麗ですね。
歌声を上方向へ綺麗に響かせています。
ファルセットへの切り替えがしやすいように常に上方向や上アゴを意識しているような歌い方になっているのかもしれません。
ビブラート
ビブラートは自然に綺麗にかかっています。
フレージング・歌い回し・歌唱力
島唄的なファルセットのこぶしを歌の中に散りばめることで歌声の中になんとも言えない情感を生み出しています。
ピッチ感も非常によく素晴らしい歌唱力です。
実際の歌声で確認
「ワダツミの木」で歌声を確認
フレーズ
船を〜 浮かべ〜 ましょ〜う 薄い〜 透め・いな〜 風は〜 二人を〜 遠く〜遠くに〜
歌の中に多くのこぶしが含まれていますね。全て瞬間的に声区を切り替えています。
ファルセットに切り替えたり切り替えなかったりと表現豊かですね。
どういう練習をすれば元ちとせさんのように歌えるか
元ちとせさんのように歌うには多くの音楽的要素が必要です。
そのぶん、多くの練習や訓練が必要となります。
しかし、要点やポイントを絞ることで近づく近道になります。
元ちとせさんのように歌うポイント
ポイント
島唄特有の歌い回しを身につける
これが重要ですね。
もちろんこれ以外も重要なのですが、ここをまずは抑えたいですね。
島唄特有の歌い回しを身につける
島唄特有の歌い回しを身につけるにはまず「こぶし」をしっかりと理解する必要があります。
島唄の歌い回しは、瞬間的なピッチの変化と同時に声区自体を切り替えなければいけません。
もしくはピッチを変化させないまま声区を切り替えるなどの表現もしています。
あそこまで声区の切り替えを自在にできるのは、特に切り替えた先の声(=ファルセット)をしっかりと鍛える必要があります。
ファルセットを自在に出せるようになってきたら、そこから地声とファルセットの交互発声の練習をひたすらにすることで切り替えが上手くなるでしょう。
ヨーデル的な練習もいいと思います。
声を自在に操れるようになると細かいピッチ感が必要になってきますね。ピッチが綺麗に階段状に変化することで美しいこぶし的な表現を生み出すのですね。
元ちとせさんのように歌うポイントはやはりまずは島唄的な歌い回しを身につける必要がありますね。
ただ、島唄的な表現は長年の練習が必要になるはずです。元ちとせさんもおそらく幼い頃からそういうものに触れてきたからこそできるのでしょうね。
頑張りましょう。
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