今回はエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)さんの歌声や歌い方についての分析です。
話し声の特徴
地声・話し声の音域は低めの音域ですね。
音域的に低めの音域帯の声帯を持っているように感じます。
声質は声帯の鳴りが強い鳴り主体声質です。やや息の流れもあり軽やかさも感じるのですが、割合的には鳴りの成分(倍音)の強い鳴り系の声質と言えそうです。
持っている声帯
低めの音域・バランスのいい声質
歌声の特徴【発声方法】
チェストボイス(地声)低中音域は地声(チェストボイス)。
フレーズによって様々ですが、声質は柔らかい鳴りの声質を使うことが多いです。声帯の柔らかい鳴りと息の流れのある温かみのある発声です。
特徴的なのは共鳴の位置を深い位置で発声する発声とやや浅めで上方向主体で発声する2種類の歌声を使い分けていることです。
深い響きの発声は太い音色を作り出しています。
冒頭が上方向主体の響きで後半はやや深めに↓
このように浅い音色と深い音色を使い分けるのが魅力の一つでしょう。
ミドルレンジ(地声)
地声の中高音発声。
息の圧力をかけて声帯を強めに鳴らすように発声しています。
ロックンロールに尖った鳴りの発声から
深めに響かせるような発声まで
幅広い発声で中高音を歌っています。
こちらも低音域同様に上方向と下方向への響きをコントロールして色々な音色を作っています。
ファルセット(裏声)
高音域は裏声(ファルセット)。
息がしっかりと流れる綺麗なファルセットです
0:50〜↓
しかし、おそらく時代的なものもあるでしょうが、基本的にはあまりファルセットはほとんど使われないという感じです。
しっかりと裏声に抜くというよりも、裏声に入るか入らないかくらいのギリギリの抜け感を表現するようなフレージングは多いです↓
もしくは「ヒーカップ唱法」と呼ばれる裏声への跳ね上げなどで使われています↓
このヒーカップはエルヴィスの活躍したロカビリー時代に生まれたものだとされています。
歌い方
共鳴や音色
エルヴィス・プレスリーさんは響きのコントロールが非常に上手く、幅広い表現力持っています。
深い咽頭共鳴から鼻腔や口腔中心の上方向への響きまで上下の響きを綺麗にコントロールしています。どちらのコントロールも上手いのですが、どちらかと言えば深い咽頭共鳴が特徴的ですね。
ビブラート
楽曲にもよるのですが、ビブラートはしっかりとかけるタイプです。
やや細かいビブラートをかけることが多いですね。
フレージング・歌い回し
かなり歌い方の幅が広いので一言では言えないのですが、
- 浅い響きと深い響きのコントラスト
- リズミカルでロックな歌い回しから
- 流れるような滑らかなジャジーな歌い回しまで歌いこなす
みたいなところが特徴的だと思います。
ブラックミュージックとカントリーミュージックを融合させた『ロックンロール』という音楽ジャンルの第一人者であり、現代ポップ・ミュージックの祖とも言えるシンガーですね。