歌唱力アップ

楽器のような声の出し方について

投稿日:2020年12月27日 更新日:

今回は「楽器のような歌声を作る方法(*ポップスなどマイクありの歌唱向け)」についての内容です。

楽器のように聴こえる美しい発声をするために声をどう磨き上げていくか、そもそも楽器化に必要な条件は何か?という部分を掘り下げていきます。

楽器のような歌声の鍵は「倍音」

まず、結論から言うと

  • 声の楽器化の必須条件は『倍音が多い発声』
  • そして倍音に重要なのは『息の流れ

でしょう。

倍音という言葉がよくわからない場合は、「綺麗な音色の成分」「心地よい音色の成分」と捉えてもいいと思います。詳しくはここでは省略して話を進めます。

声の『倍音』の出し方において意識するべきは「息」と「声帯の鳴り」

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つまり、歌声が楽器のように鳴る人は声の中に

  • 美しい倍音(成分)
  • 心地よい倍音(成分)
  • 通る倍音(成分)

が多いということが言えると考えられます。

 

そしてこれらの「倍音」とは「息の流れ」と言い換えてしまってもいいと思われます。

「歌声にどれだけの倍音が含まれるのか・息が流れるのか」が特にわかりやすいのは『普通の話し声と歌声の差』を比較した時でしょう。

「話し声の息が流れる量」と「歌声の息が流れる量」に注目です(*わかりにくい場合はイヤホン推奨)↓

 

このように美しい歌声は息がたくさん綺麗に流れています。

ここで、もう一つ多くの人が気づきそうな点としては「響きが綺麗・しっかりと共鳴している」という点でしょうしが、考え方として『共鳴の前段階で音色の良し悪しはほぼ決まっている』と考えるべきかと。これについては後半で触れます。

 

とにかくこの息がたくさん流れることにより、声の中に「スーー」とした音が含まれる↓

つまり、倍音とは息の流れの「スー」っとした音と言ってしまうのも一つの答えでしょう。あくまで”一つの”答え。

そしてこの息の流れを”ベースにして”、鳴りやすいタイプの声帯を持つ人はしっかりと鳴らすと「ジリジリ」と鳴ったりします↓

これは”鳴りの倍音”でもう一つの答えとも言えるのですが、ポップスにおいては「ベースは息の流れ」であるという考え方がかなり重要でしょう。ロックなどのガツンとした発声もベースをここに置いていると考えるべきかと。でないとマイクに乗らないですからね。

この何をベースにするかの違いはこちらで詳しくまとめています↓

「整数次倍音」と「非整数次倍音」から”発声の型”を考える

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とにかく、

  • 声が楽器化しているシンガーは倍音がとにかく多いのが特徴
  • そして倍音は息の流れが重要

 

この「倍音(声の音色の質)」はプロの歌声の一般人の歌声の違いの核心部分でもありますし、これを追い求めること=真に歌が上手くなるとも言えるでしょう。

プロの歌声と一般人の歌声の違いの『核心』について

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面白いのが倍音を取りにいくと、高いレベルであらゆる技能(ピッチやリズム)などを取りにいくことになると考えられる点です。

先ほどのシンガーたちは結局倍音の多い発声をしているから、歌声が綺麗でピッチが良くてリズムが良くて・・・という風に考えることができるわけです。

「ピッチやリズムがいいから倍音が多い発声ができる」のではなく、「倍音が多いから発声ができるからピッチやリズムがいい」というのが歌の面白いところです。

楽器のような声を作る練習方法

①「息がしっかりと流れる発声」を身につける

まずは

  • 『息がしっかりと流れる発声』を身につけること

が鍵でしょう。

要は「スーー」という倍音を含む発声を身につけるということです。

 

つまり、考え方はシンプルで「息をしっかりと流すように声を出せばいい」のですが、なかなか上手くいかないでしょう。

これが『息と声の連動性の問題』です。

 

簡単に言えば、”声帯がその息を活かしきれないと意味がない”ということ。

いくら息の力が強くとも声帯と上手く連携が取れた動きができないと「ただ息がたくさん出る声」になってしまうのですね。

歌においては話し声で使わないような高度な連動性が必要になり、訓練しないと基本的には上手くはいかないのです。

 

まずはため息に声を乗せるような練習や無声音を出してその成分を失わないようにする練習がおすすめです。

まずはウィスバーボイス(無声音)を出します(*再生位置のように)↓

誰もが息が「スー」と流れると思います。

「この状態の延長線上で声を出す」「この成分を維持したままの意識で声を出す」と息が乗った声が出せると思います。つまり、声の中に「スー」という成分が含まれる。

 

人によっては結構息を消費するでしょうが、おそらくしっかりと倍音が乗っていると思います。

まずは『この発声状態を体に鳴らす=息と声を連動させる』というのが楽器のように鳴らすファーストステップでしょう。

息に声を乗せる【”息の重要性”とその連動について】

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②倍音が多い発声の範囲を広げる

考え方としては『倍音を増やす=楽器化』でいいとは思うのですが、厳密には歌が上手い人と歌が苦手な人の倍音にはこのような特徴があると思います↓

スクリーンショット 2020-10-16 20.05.06

このように歌が上手い人は倍音を保ったまま美しく低音域から高音域まで発声します。

歌が苦手な人や楽器のように鳴らせない人は『倍音が少ないというよりも、倍音を多く保てる(魅力的に鳴らせる)範囲が非常に狭い』と考えるのが正解かと。もちろんこれも言い換えると連動の問題。

 

つまり、歌が苦手な人は”音程をコントロールするため”に倍音を消失してしまう(犠牲にしてしまう)のです。

もちろん、犠牲にしているつもりはなく無意識のうちにです。

このように”声帯の柔軟性がないとどうにもならない”という壁にぶつかるのですが、プラスの見方をすればどんな人にも倍音を多く保てる音階は存在すると言える*おそらく一番楽な音程、普段話すくらいの音程は声帯が柔軟ではない人でもある程度の倍音を保てるはず)。

 

つまり、『まずは自分の発声の最も倍音が保てる位置を見つけて、それを維持したまま押し広げようとする練習こそ楽器化につながる』と考えられます。

スクリーンショット 2020-10-16 20.19.45

こういう意識を持つことが大事でしょう。

つまり、

先ほどの「息と連動できる発声」をまずは一点しっかりできるポジションを見つけそこを押し広げていくような考え方がいい。

③魅力的に鳴らせる範囲は「自分の声帯」によって決まっている

倍音が多く保てる発声を押し広げるとはいっても、どこまでも無限に鍛えられるわけではなく人それぞれ限界があります。

つまり、魅力的な地声と裏声の範囲は持っている声帯によって決まっているということ。

あくまでおよその目安ですが、一般的に

ほとんどの人が地声と裏声を合わせて2〜3オクターブくらいは秘められた力を持っているはず(*人によって変動します)。

多くのポップス曲は1〜1.5オクターブくらいの音域で作られているので十分ですね。

 

ここで大事なのは人それぞれ自分の声帯にあった楽器化をさせる必要があるということと、それをはみ出すと楽器化から遠ざかる可能性があるということです。

『声帯のタイプ』と『魅力的な音域』の関係性について

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④歌の練習は”音程を優先しない”

声の楽器化への道は歌の練習においても、

  • 質>高音
  • 「発声の質」を最優先とし、「高音を出す、など」の優先順位は一番最後

という感じになるでしょう。

というよりも、こうすることでしか最終的に質のいい高音域なども手に入れられないと考えられます。

多くの人はまず右側の道を取りにいく傾向があるはずです。

  • 「高い声が出ない」から「高い声が出せるようになる練習をする」

と考えるのは自然ですね。

しかし、結局この道は「高音は出せるようになるが、楽器化(魅力的な歌声)を目指すのなら大体ダメになる」ことが多いと考えられる(*もちろん絶対ではない)。

 

つまり、

  • ”現状の自分”が歌える音域の曲を歌う(キーを変更する)
  • 無理して変な発声で高音を歌わずに、歌える範囲でなるべく質を保つように歌う

ということが大事になるでしょう。

まずは『現状の自分が歌える範囲の音域の歌を徹底的に練習する』というスタンスも楽器化のポイントでしょう。

⑤共鳴が最適化されることを意識

最初の方で述べましたが、

  • 声の音色は共鳴の前にほぼほぼ決まっている

と考えるべきでしょう。

 

声は「息」「声帯」「共鳴」の順番で作られます。 

共鳴はあくまで①と②で作られて音色の増幅の役割。

つまり、

  • 共鳴を操作していい音色を作るのではなく、いい音色だから勝手に綺麗に共鳴する

と考えるべきかと。

そもそもクラシックのような発声をしない限り、共鳴ってそこまで大きく操作できるものではなく、頭蓋骨などの骨格に依存します↓

発声における3種類の共鳴について

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もちろん、

共鳴が悲惨な状態(例えばすごい喉締め状態など)であれば綺麗な音色にはならないのですが、共鳴以前にいい音色を作れる声帯の持ち主はそもそも共鳴が悲惨な状態にならないんです。

 

なぜなら、共鳴腔の邪魔するものは「声帯の柔軟性のなさ」だから。

例えば、喉締め発声(咽頭腔が狭くなりすぎる発声)は声帯の柔軟性がないから喉周りを締めてでも高音を出そうとするという状態ですね。つまり、共鳴が悪化する問題の根本は共鳴そのものではなく声帯にあり、声帯の柔軟性がある人は共鳴を悪化させることはないのです。

 

ということは、これまでのポイントを踏まえると

  • 共鳴以前でいい音色を作れる=倍音の多い発声ができる
  • 倍音の多い発声ができる=息と声帯が綺麗に連動している
  • 息と声帯が綺麗に連動している=声帯の柔軟性がある
  • 声帯の柔軟性がある=共鳴を邪魔しない

よって、

  • 共鳴以前でいい音色を作れる共鳴を邪魔しない

となるわけです。

これが「共鳴の最適化」です。

 

なので、楽器のような声を出したいと考えた時必要となる条件は正確には

  1. 息の流動性(息の流れ=倍音の多い発声)
  2. 共鳴の最適化(音色の邪魔をしない共鳴)

の二つと考えられるのですが、「息の流れ」の部分だけ考えておいても特に問題ないのですね。

綺麗な音色を鳴らせるようになった時、自然と共鳴もしっかりできるようになっている』ということです。

綺麗な歌声の出し方についての研究【ポップス向け】

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