B'zのボーカル、稲葉浩志さんの歌声・歌い方についての分析です。
話し声の特徴
話し声の音域は普通くらいの音域。
年代によっての変化もありますが、相対的に普通くらいの声帯を持っていると思われます。低めに話すのと、その歌声からの落差から低い声帯のタイプなように思えますが、意外と普通くらいだと言えそうな気がします。
声質は声帯の鳴りがしっかりとある声質。ジリジリ・ビリビリとした成分(倍音)がしっかりとある鳴りやすいタイプの声帯という感じです。
時を重ねるにつれて、若干ハスキーっぽくザラついた成分が多くなっているようにも思います(*男性は歳を取ると声がどんどんかすれていく傾向にあるので、誰にとっても自然なこと)。
持っている声帯
やや低め〜普通の音域・鳴りやすい声質
歌声の特徴【発声方法】
チェストボイス(地声)低中音域は地声(チェストボイス)。
基本的には、声帯をしっかりと鳴らしつつもバランスのいい発声中心です。軽やかでくっきりとした芯のあるかっこいい歌声です。
また、基本的には「鳴り」中心ですが、優しい低音域はやや息っぽい音色発声することもありますね。
0:24〜↓
高音域帯との表現の幅が広い。
ミドルレンジ(地声)
地声の中高音発声はかなり強い鳴りが特徴。
強い息の圧力をかけて強い鳴りを生み出すハードロックボイス。やや喉が締まるようなニュアンスもありますが、パワーのある高音を生み出すために声帯を上手く締めている、つまり余計な力なく声帯を柔軟コントロールしているという方が正確でしょう。
稲葉さんの発声方法は、やはりある程度の喉全体の閉鎖感(締め)が必要になってくると思われます。
ハードロックはやはり「鋭く強い高音発声」が必要になってくるので、少なからず喉やその周りの空間自体も少し締める必要があるのですね。
ただそうするとその分だけ音色の響きが狭くなるのですが、それは口の中にしっかりと空間を作ることでそれを回避しているように感じます。具体的には「下あご」の使い方で上手く音色のふくよかさを保つようにしているのだろうと。
また、シャウトなどの発声や強い高音発声の時に喉の中でカラカラ・ガラガラと鳴っているうなりのニュアンスを出すときがありますね。
0:45〜、1:07〜↓
0:14〜↓
このカラカラ・ガラガラはほんのりと『仮声帯』が鳴っているものでしょう。こういう「がなり・うなり」の発声を使いこなすのも、稲葉さんの特徴の一つですね。
様々な強い発声を使いこなす声帯コントロール能力の高さが一番大事なポイントだとは思いますが、稲葉さんは肺活量がすごいことでも有名です。
「パワーブリーズ」という肺活量グッズを、ありえないスピードで使用している映像があります。呼吸、主に吸う力に負荷を与えるグッズなのですが、普通の人ではなかなかできないレベルの鍛え方です。
この息のコントロール能力も稲葉さんの歌声の根源であることは間違い無いでしょう。
ファルセット(裏声)
高音域は、稀に裏声(ファルセット)を使っています。
基本的にはほとんど聴くことはできないのですが、実はすごく綺麗なファルセットを持っているという。
歌い方
共鳴や音色
歌声の共鳴は、低音域帯は咽頭共鳴(下方向への響き)をある程度しっかりと保って太い音色作りをしています。
中高音域は、鼻腔や口腔といった上方向に強く響かせて浅めの尖った音色を作ることが多いです。
ビブラート
あまりビブラートは使わないタイプの歌い方です。基本的にはまっすぐにロックに歌うという感じです。ただ、バラードだったりすると結構かけたりするので上手く使い分けていますね。
フレージング・歌い回し
- 直線的なロックスタイル
- 語尾のヒーカップ
フレージングは直線的でまっすぐなロックスタイルが基本系でしょう。曲線的で音の”流れ”を作るタイプというよりも、直線的にアタック(出だし)の鋭さのある直線型という感じかと。
特徴的なのは、「ヒーカップ」を言葉の語尾などで多用することが多いです。強い高音発声のフレーズ語尾で音を跳ね上げながら切ることが多いです。
0:10〜「もうここにはいなーい(キュッ⤴︎)」↓
この「キュッ⤴︎」という跳ね上げが”ヒーカップ”です。これをかなり使っているのも稲葉さんの特徴ですね。
もっと言うと、ほんのりと「フォール(音程をゆったりと下げる)」させてからヒーカップを使うことがかなり多く、これをコピーすると稲葉さんっぽさがかなり出るはず。
稲葉浩志さんの歌声に近づくために
稲葉浩志さんのように歌うポイントは
ポイント
強い鳴りの高音発声を身につける
強い鳴りの高音発声を身につける
B’zの楽曲を歌うには、とにかく強い鳴りの高音発声を身につけるということが最優先になるかと。
ただし、人それぞれ持っている声帯が違うので、音域も当然違います。自分の持っている声帯と向き合いながらのトレーニングだ大切です。
強い鳴りの高音を鍛える
強い鳴りの高音域を身につけるには
で練習するのがオススメです。
特に、浅い響きで鋭い音色の発声のトレーニングに向いているので、稲葉さんのような歌声に近づくためには向いているトレーニングだと考えられます。
地声の音域を広げるトレーニングは、無理をせずにコツコツと進めるのがおすすめです。
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