歌声解説 男性シンガー

B’z 稲葉浩志の歌い方・歌唱力-強い閉鎖系ミックスボイス-【歌声解説】

投稿日:2017年10月24日 更新日:

今回はB'zのボーカル、稲葉浩志さんの歌声について書いていきたいと思います。B'zと言えば日本が誇るロックバンド(ユニット)ですよね。日本人で知らない人はいないくらいの人気があります。

何と言ってもその楽曲・その演奏、そして稲葉浩志さんの歌声は圧巻ですね。多くの人を魅了していますし、多くの人が憧れているような存在ですね。

今回はそんな稲葉浩志さんの歌声について書いていきたいと思います。

どういう声質・声の出し方か

地声・話し声の音域は低めの音域で、声帯閉鎖の強い鳴り系の声質

地声・話し声の音域は低めの音域ですね。低めの音域帯の声帯を持っているように感じます。

声質は声帯の鳴りがしっかりとある声質ですね。声帯がしっかりと閉鎖することによってしっかりと鳴りのある声になっています。息よりも声帯の鳴りが先行する鳴り主体の声質です。ハスキーではないですが、若干のザラついた倍音も声の中に含まれていますね。また、ライブのMCなどでは声帯を使わないように息っぽく話すこともありますね。

話し声の共鳴は咽頭共鳴(下方向への響き)寄りの響きで話しています。

歌声は声帯閉鎖の強いハイトーンボイス

歌声は大きく分けて2種類です。

地声・ミックスボイスの2種類を使っています。ほとんどがミックスボイスで歌っています。地声もミックスボイスと似た声質で歌うことがほとんどなので、声区の判別をするのはなかなか難しいです。また、ファルセットは音楽のスタイル上ほとんど使わないですね。古い楽曲で稀に聞ける楽曲もありますがほとんど聴ける機会はないですね。シャウト系の発声がミックスボイスとファルセットの間のような発声として使っていますね。歌声全体の割合としてはミックスボイスの割合が大半を占めています。

低中音域は地声寄りのミックスボイスがほとんどです。ほとんどがミックスボイスに近い発声です。まぁ地声とも呼べますし、ミックスボイスとも呼べそうななんとも言えない発声です(地声とミックスボイスをここから!と綺麗に線引きすることは難しい)。話し声のような地声を使うことはあまりないですね。そういう点を考えるとミックスボイス系の発声と言えそうですね。

低中音域、特に低音域では太めの声質を作ってミックスボイスで歌っています。低めの音域なので太くなるのは当然なのですが、ミックスボイスのまま低音域に降りてくるのも結構難しい技なのです。低音域は少しだけ声帯閉鎖が弱いニュアンスが出ています。喉の空間をしっかりと作って太い性質にしています。

中高音域は稲葉さんの代名詞とも言える閉鎖系の強いミックスボイスです。大抵の曲はこの声を使っていますし、この声がなければ稲葉さんではないと言えるほどのミックスボイスですね。

声帯を閉鎖させるミックスボイスでかなり強い声帯閉鎖が特徴です。閉鎖が強すぎる声は金属感が出てしまうものですが、稲葉さんはそこに息の圧力をかけてしっかりと息も流れるようにしています。この息の圧力がすごいのは当然ですが、何よりもやはりその息の圧力に耐えられるほどの声帯閉鎖の維持とコントロール能力の高さですね。

つまり稲葉さんのように歌うには、息の量や肺活量で持っていくというよりもそれに耐えうる声帯閉鎖のコントロール能力を身につける必要があるということです。(もちろん肺活量はものすごく、「パワーブリーズ」という肺活量グッズをありえないスピードで使用しています。呼吸に負荷を与えるグッズなのですが、普通の人ではできないレベルで使用しています。)

ちなみに、このミックスボイス。シャウト系や強い高音発声の時に稲葉さんの喉の中でカラカラ・ガラガラと何か鳴っているようなニュアンスを出す時があります。うなりのようなニュアンスのロングトーンとかでよく見られるものです。恒常的に喉を鳴らすようにして出す高音ミックスボイスです。このミックスボイスのカラカラは声帯閉鎖が息の圧力に少し押し負けて(つまり割れている)鳴っているものですが、これを鳴らし続ける声帯閉鎖と喉の維持力は稲葉さんにしかできないと思えるほどです。

稲葉さんの発声は声帯閉鎖はもちろんですが、喉の閉鎖もある程度必要になってくると思われます。

本来は喉は締めずに声帯のみを締めるのが理想形ですが、稲葉さんほどの閉鎖と息の圧力をかける発声は少なからず喉やその周りの空間自体も少し締める必要があると思います。声帯だけで支えるには限界があるほどのロックな発声ですからね。

その証拠に稲葉さんは少し下あごに力を入れたような発声の仕方をしています。喉の空間自体も少し狭いような感じですね。力を入れると言ってもガチガチに入れているわけでなはく、動かせる程度のバランス感で力が入っているように感じます。

下あごに力を入れると喉周りが少し硬直するため声帯閉鎖を支えやすいです(高音発声が苦手な人が苦しそうになるときも下あごに力が入りやすいです)。しかし、声帯のコントロールができた上で力を入れるのと声帯のコントロールが出来ない状態で力を入れるのでは全然違うということですね。

稲葉さんも苦しくてやってるわけではないはず。(苦しかったらあんなに歌えないです。)そうすることで最適化させている、つまりベストの形なのでしょうね。

実際の歌で確認

声の種類

地声:黒字

ミックスボイス:黄色マーカー

稲葉さん特有の割れ系ミックスボイス:赤色マーカー

OCEANで地声とミックスボイスの違いを確認

フレーズ

オーベイベー 果てない思いを君に捧げよう 握りしめたこの手ははな〜さな 嵐の中でも 新しい旅へとともに出てゆこう

黒字の部分は地声・もしくは地声寄りのミックスボイス的な発声ですね。先ほども書きましたが、厳密に線引きできるものではないのです。高音系のミックスボイスとは少し性質の違う発声なのでここでは黒字にしておきます。

黄色部分は基本的なミックスボイス。

赤字の部分は稲葉さん特有のガラガラと鳴るミックスボイスですね。声帯が息の圧力に負けて割れる感じでガラガラと鳴るのですが、「割れている」というよりは「割っている」という感じですね。完璧にコントロールされています。

衝動で割れ系ミックスボイスを確認

フレーズ

誰もが無限の可能性を抱きしめて生まれてきたんでしょう〜ねぇ〜 くにも誰かを愛せると の手重ね らせて 希望は目の前にある

特殊な鳴りで、「ゴロゴロ」「ガラガラ」と鳴っているミックスボイスが赤色マーカーの部分ですね。なかなか真似できそうにないすごいミックスボイスですね。声が割れるほどの息の圧力に耐えられる声帯コントロールがないとなかなか難しいでしょうね。

それくらい個性的でかつ難しい鳴らし方だと言えるでしょう。

どういう歌い方か

ハイトーンロックボーカリストのお手本

あまりビブラートは使わないタイプの歌い方ですが、そういう楽曲のときは意図的に止めている印象を受けます。バラードだったりすると結構かかったりするので、使い分けているのでしょう。基本的にはまっすぐにという感じです。

しゃくり(ヒーカップ)に癖がある

しゃくりを言葉の語尾などで多用することが多いですね。強いミックスボイスのフレーズ語尾で音を跳ね上げながら切ることが多いです。これは声帯をある程度強く閉鎖させているシンガー(特にロックシンガー)に多いですね。整体をしっかり鳴らしつつ、フレーズに収束感を生み出します。

先ほどの衝動で言えば「誰もが無限の可能性を抱きしめて生まれてきたんでしょう〜ねぇ〜」の「ねぇ〜」の終わり部分がそうですね。音を跳ね上げながら切っています。このテクニックは稲葉さんの大きな特徴です。

下顎を固めて閉鎖感とかっこよさを出す

稲葉さんは強く高いパワーボイスを駆使するために、強い声帯閉鎖を作っています。声帯の閉鎖はもちろんのこと、喉の空間も広くがっぽり空いているという発声ではないですね。どんなに稲葉さんがすごくても一定の力みや閉鎖感を必要とするわけですね。(本人にとってはもはや自然な発声になっているのでしょうけれど。)

一定の閉鎖を必要とすると口の中や喉の空間が作りにくくります。特に太い響きは作りにくくなります。そうするとかっこよさが出にくくなり、キンキンとした幼い印象や明るすぎる印象を生み出します。そこで下顎をやや突き出すような、下顎で空間を作るような歌い方をすることで空間を作り高い閉鎖的な高音をかっこよく響かせているのだと感じます。

どういう練習をすれば稲葉浩志さんのように歌えるか

稲葉浩志さんのように歌うには多くの音楽的要素が必要です。そのぶん多くの訓練や練習が必要になってきます。

しかし、要点絞ることで近づく近道になります。

稲葉浩志さんのように歌うポイント

ポイント

閉鎖系の強い高音ミックスボイスを身につける

これが重要ですね。では練習方法を書いていきたいと思います。

閉鎖の強いミックスボイスを身につける

閉鎖の強い高音域を身につけるために「ネイ」「ヤイ」トレーニングで練習しましょう。「ネイ」のまま裏返らないように高い音程へと登っていきます。裏返ってはいけません。強い発声を身につけるためには少々苦しいですが、高い音程もファルセットにならないように訓練しましょう。少しづつ楽になってくるはずです。

「ヤイ」も同様です。このトレーニングで脱力を促しながら喉の締めていいところだけを締める能力を鍛えます。

またすぐに声が裏返らないようなトレーニングにもなります。普通推奨されるのどに力を入れるなということとは別の方向性ですので無理せずに少しずつ練習してみてください。この練習をかなりの高音域までできるようになると、稲葉さんのような高音域がパワフルに出せるようになってきます。

『音域を広げる』のは筋トレのようにコツコツしたトレーニングです。

エッジボイスでさらに閉鎖感を鍛える

エッジボイスでさらに声帯閉鎖を完璧にコントロールできるようにしましょう。声帯を無理なく閉鎖させることが肝心なのです。そのための練習としてエッジボイスは最適なのでしっかりと練習しましょう。

下あごに力を入れる

これもあまりおすすめされることではないのですが、稲葉さん的な発声には欠かせないですね。稲葉さんの発声を聞いていると下あごや舌に結構力が入っていることがわかります。力が入っていると言ってもガチガチに固めているわけでなく、少し力を入れる意識です。ガチガチだと発音できませんから。バランスが非常に難しいところです。

下あごにやや力を入れることで、強い声帯閉鎖を支えやすいです。舌根はやや固まり気味になるかもしれませんが、強い息の圧力にも耐えられる閉鎖を声帯と喉周りで力を合わせて作るのですね。また、共鳴空間を顎で作ることで音色を太くする効果もあります。

これを声帯のみを閉鎖させる能力がない人がやってもうまくいかないでしょう。喉が締まり過ぎると思われます。あくまで発声の手助けとしてくらいの感覚が重要です。

シャウト系の発声について

シャウト系の発声の練習も重要ですが、やはり少し喉に無理が生じますので気をつけて練習しましょう。

特に稲葉さんは息の圧力での押し出しが非常にすごいです。ファルセット的なニュアンスも入れているのでしょう。ファルセットとミックスボイスの中間のような音色で息の圧力をかけてシャウトします。なんにせよ閉鎖された声帯を強い息で押し出すような練習が必要です。エッジボイスから息を押し出すようなトレーニングもいいかもしれません。

また、息の圧力もかなり重要になってきますが、稲葉さんはパワーブリーズというボイトレグッズを使っていることで有名ですね。これで息の力を鍛えているのですね。色は「超重負荷」です。すごいです。

まとめ

稲葉浩志さんのように歌うには

  • 閉鎖の強い高音ミックスボイスを身につける

が重要です。まずはここをしっかりと練習して他の練習をしていきましょう。とは言え、高音の強い声を身につけることはスタート地点ですね。稲葉さんはそれ以外のピッチやリズム感やフレージングなど挙げればキリがないほどの音楽スキルを持っています。頑張りましょう。

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