今回は『声の通りについて』です。
この記事は
- 通る声・通らない声の特徴について
- 通る声になるためのトレーニングについて
という内容です。
声が通る人の特徴
声が通る人の特徴は
- 声に含まれる倍音が多い
- 声がしっかりと共鳴している
- 口の開きが大きい
- 声の音域が高い
ということが考えられます。
つまり、声が通らない人の特徴はこの逆ですね。
- 声に含まれる倍音が少ない
- 声が共鳴しない
- 口の開きが小さい
- 声の音域が低い
これを理解することで通る声を身につけるには何をすればいいのか?が見えてきます。
①声に含まれている倍音が多い
基本的によく通る声を持っている人は
- 声に含まれている倍音成分が多い
です。
倍音とは
倍音というのは音の成分のようなものです。
例えば、ピアノとギターで同じ音「ド」を弾いた時に音色が違って聞こえますよね?これは倍音が違うから音色が違って聞こえるのです。
人の声というのは大まかに二つの倍音で構成されています。
- 『息の流れ』による倍音
- 『声帯の鳴り』による倍音
この二つが声質を作っていると言っても過言ではないくらいの重要な要素だと考えられます。
これらは「整数次倍音(主に鳴り)」とか「非整数次倍音(主に息やノイズ)」などと言われます。
「倍音」と言うと難しくなってわかりにくいのでシンプルに、
- 声を通る息の流れの強さ
- 声帯が鳴っている強さ
という二つの成分だと考えるとわかりやすいかもしれません。
この二つの成分が多ければ多いほど声が通ります。
息の流れについて
息が流れている量が多ければ多いほどに声の通りは良くなります。
なぜかというと息が流れている倍音(息系の倍音=非整数次倍音)は人の耳に入りやすいのです。
声の輪郭もしっかりとわかりやすい状態で入ってくる倍音成分が多い。
例えば、「教室や図書館などの静かな場所で誰かがヒソヒソ話をしているのが気になった」みたいな経験が誰でも一度くらいあると思います。
ヒソヒソ話って妙に耳に入るんですよね。
あれはほとんど『息で話しているから』です。息で話すと耳に入りやすい音になりますし、言葉の子音がはっきりわかりやすくなります。
つまり、ヒソヒソ話は音量自体は小さいですが、通るか通らないかで言えば『通る』。
よって息の流れの倍音成分は『声の通り』そのものを良くします。
その顕著な例が『ハスキーボイス』です。
ハスキーボイスの人って声がものすごく通りますよね。
ハスキーボイスは声帯の閉鎖が不完全で特有の息やノイズの倍音を多く含むため人に耳の届きやすいのです。
話が上手い一流の芸人やタレントの方はハスキーボイスなことが多いですよね。
バラエティ番組など大勢の会話が入り乱れるような場所でもそういう人の声はズバッと通ります。
こういうのも活躍できる理由の一つなのでしょう。
ということは、うるさい場所などで声が通らない人は
- 『人の耳に入りやすい倍音を含む声を出す』
というのが一つの改善策と考えられます。
単純な声量
音の成分だけでなく単純な声量も「息の量」に比例します。
例えば、
リコーダーを弱く吹くときと強く吹くとき、どちらが音が強く鳴るかなんて言わずもがなですよね。強い息が流れるから、強い音が鳴るのです。声も声帯という弁を通る以上はリコーダーと同じように息の量で音の鳴りが変わる。咳とか、くしゃみも同じですね。息の量がすごく出ているから音がよく通るのです。
つまり、「息の流れ」が重要なのは
- 耳に入りやすい倍音成分が増える
- 単純な声量も息が大きく関わっている
からだと考えることができます。
声帯の鳴り
声帯の鳴りの強さ自体も声の通りに大きく関係しています。
基本的には声帯の鳴りそのものが強ければ強いほど音量のある声になります。
鳴りが強い声とは
鳴りが強い声とはジリジリしたような声・ビリビリしたような声です。
エッジボイスがその最たるものです。
歌舞伎やお坊さんのお経なども声帯をしっかりと鳴らすことで広く響き渡るような声になってますね。
「音量」そのものを大きくします。
ここで少しだけ注意しなければならないことがあります。
それは「音量」と「声の通り」は若干違うということです。
特に日常会話においては鳴りに偏りすぎると通らない声になることがあります。
あくまで『偏りすぎると』ですが。
なぜかと言うと、言葉の輪郭がボケやすい。
お坊さんのお経なんかがそうですね。鳴りの成分に偏った発声なので音量は大きいですが、何を言ってるかよくわかりにくいと思います。
つまり音としての音量はあるが、それが通る(伝わる)かどうかは全くの別問題なのです。
ヒソヒソ話(息メインの声)とエッジボイスで話す(鳴りメインの声)場合、ヒソヒソ話の方がよく通るはずです。
つまり
声の通りにおいて声に含まれる倍音成分は両方大事ですが、その中でも『息の流れ』が大事だと考えられます。
息の流れは『耳に通る倍音』『単純な声量』の両方に作用する重要なものです。
-
声の『倍音』の出し方について【意識するべきは「息」と「声帯の鳴り」】
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改善トレーニング
息をしっかりと鍛えることで『声の中に含まれる息の成分』を増やし、単純に『声帯を鳴らす力』も増やします。
つまり息のトレーニングや息と声をしっかりと連動させるようなトレーニングが改善につながると考えられます。
息と声のトレーニング
こちらの2つのトレーニングのどちらか、もしくは両方を毎日少しづつでも続けるといい声になってくるでしょう。
-
声量を上げるトレーニング方法について
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②声がしっかりと共鳴している
声が通る人の特徴に
- しっかりと共鳴する
- 声がよく響く
という特徴もあります。
声は体のいろいろなところに響いています。特に鼻腔や口腔・咽頭腔などの場所は声が直接響く場所ですね。
通る声の人はこの空間が広いです。
トイレットペーパーの芯を口に当てて声を出すより、アルミホイルの芯を口に当てて声を出したほうが大きい音が出ますよね。(例えが変ですみません。)
これは共鳴する空間が広い(アルミホイルの場合長い)からです。
声が通る人というのは生まれつきにせよ訓練にせよ、この共鳴腔が広いことでよく響く声=大きな音が鳴る=よく通る声になっているのです。
共鳴は大きく分けると2種類の方向に分けることができます。
- 上方向(鼻腔・口腔)
- 下方向(咽頭腔)
どちらの共鳴も重要なのですが、上方向へ響かせる声の人の方が通る声の人は多いですね。
これは上方向へ響かせる方が音として高い周波数の倍音をよく響かせることができるからでしょう。
それだけ音の輪郭(発音)がしっかりとしやすいのだと感じます。
逆に下方向への響きを作ると低い周波数の倍音を強くするので、音は響くけど輪郭がはっきりしにくいこともあるかもしれません。(もちろん響くに越したことはないのですし、下に響く良く通る声もあります。)
-
発声における3種類の共鳴について
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改善トレーニング
理解しておくべき大事なことなのですが、共鳴空間は最適化はできるが大きくはならないと考えられます。
つまり持って生まれた才能に大きく影響します。骨の空間を広げることは手術でもしない限りは無理ですよね。
よって共鳴のトレーニングは持って生まれた才能を最大限に活かすトレーニングになります。
持っている骨格や声質によって上に響かせた方が通るのか、下に響かせた方が通るのかは違うでしょうから自分で試行錯誤するのがベストだと思います。
改善するための共鳴のトレーニングはこちら
③口の開きが大きい
声が通る人は口の開きが大きい人が多く、声が通らない人は口の開きが小さい人が多いです。
もちろん小さくても通る声の人もいるでしょうが、口を大きく使っているのに通らない人はなかなかいないでしょう。
口の開きの影響
単純に声の出口は広いほうが前に声が飛ぶのです。
例えば、アルミホイルの芯を口に当てて声を出すよりも、応援などに使うプラスチックメガホンで声を出したほうが大きな声が鳴りますよね。
これは声が出口に向かって広ろがりを持って共鳴しているからです。
「=」こういう形状より「<」こういう形状の方がいいのですね。
共鳴や音の広がりからもそう言えるのですが、単純に考えて音の出口が狭いのと広いのでは広い方がいいに決まっています。
また、口を大きく開くことで言葉をしっかり発音できるので声の子音が立ちやすいということも言えるでしょう。
子音をくっきり作ることがよく通る声には重要です。
特にカ行・タ行・サ行をはっきりと発音することでよく通る聞き取りやすい声になるはず。
改善するための発音系トレーニングはこちら
④声の音域が高い
これは声が低い人にとっては悲しい現実ですが、「声が低くて通らない」ということは起こり得る。
もちろんこれだけが通る・通らないを決めているわけではないです。
しかし
その他の条件(例えば、共鳴や声質や息の量)が全く同じなら声が高い方が通ると考えられます。
普段聴いている音楽でもベースの音よりギターやピアノの音の方が聞き取りやすいはず。
チャイムや警報、着信音なども低い音はないですよね。
音が高い方が耳に入りやすいのです。
もちろん高すぎる音は別ですが、人の声で出せる範囲で考えれば高い方がよく通ると考えられます。
しかし、声の音域そのものは練習次第で広がりますが、話し声の平均的な音域を変えるはなかなか難しいですね。
というのも基本的に話し声の音域は自分が楽に出せる音域で出します。
つまり持っている声帯に依存します。
『訓練すれば話し声が高くなる』みたいな論もありますが、本当にそうなのでしょうか?
訓練すれば『高い声で話せるようにはなる』でしょうが、『話し声が高くなる』ことはなかなかないと思います(*「絶対にない」とは言えませんが)。
ジャンプ力は訓練で高くなりますが、身長自体は訓練では伸ばせないようなものですよね。
かと言ってずっと背伸びしておくのもかなりしんどいと思います。
声も同じようなものです。
つまり、よほど強い意志を持っていなければ高い声で話し続けることは難しいかもしれないということ。
改善トレーニング
楽に出せる話し声の音域そのものを上げたままにするのには強い意志が必要ですが、それ以外の方は『話し方』を工夫するのがいいでしょう。
改善トレーニングは
- 音程の起伏を意識的に作る
- そのための声の音域を広げる
というものが考えられます。
意識と能力の両面からのアプローチです。
音程の起伏を作る
話し声のフレーズの中に高い音程を作るようにして話すのがいいでしょう。
関西弁や沖縄弁や津軽弁のようなイントネーションは音域の起伏があるので聞き取りやすいですね。
また、オネエ言葉を使う人には声自体は低い人がたくさんいますが、話している言葉の中で高い音程が出てくる頻度が多いので聞き取りやすい声になっていますよね。
つまり音程の起伏を作ることで通る声を作れるということです。
声の音域を広げる
これはコツコツとしたボイストレーニングになっていくと思います。
音域は声帯の柔軟性が重要になります。使える音域が広がれば音程の起伏を作るのも楽になりますね。
歌の音域と話し声の音域は若干違うでしょうが、声帯の使い方・音が高くなる仕組みは同じなので歌のようにボイストレーニングしましょう。
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まとめ【鍛えやすいのは『息』】
通る声の特徴として紹介した内容をおさらいします。
- 声に含まれる倍音が多い
- 声がしっかりと共鳴している
- 口の開きが大きい
- 声の音域が高い
このうち一番重要でありトレーニングすべきだと考えられるのは『倍音』だと考えられます。
理由は『一番努力による改善効果の伸び代があり、無意識下で成果を発揮できるもの』だと考えられるからです。
他のものももちろん重要なのですが『意識・癖・最適化』みたいなものが重要で、持っているポテンシャルに左右されやすいものでもあります。
持っているものの最善を尽くせばそれ以上は成長しにくいものです。
そういう点を考えると「声の倍音を鍛える」のが一番いいと思います。
そして倍音の中で息が重要だと考えられるので『息のトレーニング』こそ通る声において最も重要なものだと考えられます。
歌のトレーニングでも息が最も重要と言われますし、結局、普段の話し声においても『通る声』は『息』で決まります。
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