今回は歌が上手くなるための練習の優先順位についての考察。
個人的には
こんな感じだと考えます。
*ここでのボイトレとは特殊な発声やスケール練習などの「ボイトレらしいボイトレ」のこととして話を進めます。
①録音する
「歌声を録音すること」。
結局はこれが一番いいというか、重要というか、飛躍的に成長するための鍵なのではないかと考えられます。
「ボイトレらしいボイトレなんかしたことない」という歌が上手い人でも「自分の声を録音したことない」という人はほぼいないでしょう。
プロのシンガーであればゼロでしょう(*そもそもレコーディングしているので。笑)。
でも、そういうことですよね。
録音の目的の一つは
- 内耳と外耳の誤差の修正
です。
これはかなり重要かと。
『この誤差を自分の中で正しく掴む、もしくは誤差をほとんど感じなくなる』のが重要だと考えられます。
特に内耳は厄介で、自分の脳が勝手に補正しちゃうことも普通にあるとされています。
思っている以上にあるはず。
なので、自分の録音した歌声を聴いて多くの人が衝撃を受ける。
- 「誰?」
- 「なんだ、このキモい声、、、」
みたいな。
これは結局、自分の脳(感覚)が『内耳と外耳の誤差を掴んでいない』から起こると考えられます。
逆に「自分の声の録音に慣れた。特に何も感じ無くなった。」というのもよく語られることでしょうが、
これは
- 「内耳」と「外耳」の誤差を掴んでいる(脳が慣れる)
とも言えるでしょうし、
- 誤差を掴んだから誤差を埋めるようにしている
とも言えるのでしょう。
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歌が上手い人は内耳共鳴と外耳共鳴の誤差が少ない!?
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そして、これがもう一つの目的
- 『改善点の試行錯誤』
にもつながると思います。
このサイクルを自分でたくさん回せるのが録音の最も良いところですね。
もちろん、自分でしなければいけないからこそ難しいという部分もあるのですが、自分でより良くしようとすることによって何が得られるかというと、
- 言語化できない感覚
- 自分だけの感覚
- 自分にとっての正解や最適解
みたいなものでしょう。
例えば、
- 「高音を出すとき、〇〇が△△な感覚になる」
- 「お腹が〜、背筋が〜、首の裏側が〜、頭の上に〜、鼻の奥に〜」
こういうのは本来『人によって感じ方が違う』ので、大抵当てになりません(*もちろん上手くマッチすることもある)。
そもそも持っている体そのものが違いますから、情報の出し手と受け手の感覚が完全に同じになることはない。
他人の感覚の言語化ほど当てにならないものはないんです(*あくまで参考程度がいい)。
しかし、『自分だけの感覚』は裏切らない。
自分で見つけた自分の体にとって最適な感覚だからですね。
つまり、録音することによって
- 「こう聴こえるためにはこう」
- 「こんな風な声にするには〇〇をこうする」
などのような『自分の感覚の試行錯誤』ができるということです。
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歌声の録音トレーニングは”最も重要で効果的な練習”の一つ
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②とにかく歌う
上記で書いた録音のメリットは、
- 録音することで誤差や改善点を修正しやすくなる
というものです。
別に録音しなくても、
- 自分の歌声を客観的に聴いて、試行錯誤する
ことはできます。
なので、とにかく歌うということもまた普通にいい練習だと思います。
ただ、実践したものを正確に反省できる録音は「とにかく歌う」という練習を内包しているので強い。
「とにかく歌う」のが「ボイトレ」に勝る理由も同じで実践に勝る練習はないというやつだと思います。
とにかく歌うという行動の中にボイトレが内包されているのですね。
「特別変わったボイトレはしたことがない」というミュージシャンは多いのもこういう理由でしょう。
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プロのシンガーが『ボイトレしない理由』について
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③ボイトレ
「ボイトレがダメだ」と言うことが言いたいのではなく、
- 「録音する」「とにかく歌う」を超えるような有効打となるボイトレは”そう多くはない”
- 確率的に「録音する」>「とにかく歌う」>「ボイトレ」の順番になってしまう
と言うことが言いたいのです。
じゃないと、「ボイトレらしいボイトレなんて一切したことがない」というプロがいる一方で、「いくらボイトレしても全然上手くならない」という人がいるという現実を説明できない(*まぁ色々な角度から物事は観れますが)。
成長に有効打となるボイトレは
- 人によって大きく変動する
- 万人に有効なボイトレはそう多くない
からこの現象が起こる大きな原因だろうと考えられます。
それが起こる理由は
- 個人個人の体の違い
- 目指すジャンルの違い
- 目標(本格的・娯楽)の違い
などなどがあるからでしょう。
それならとりあえず歌った方が早いし、その歌の成長を加速させるために録音をすることは大事と考える方が自然なのかもしれません。
ボイトレがダメなのではなく、
- 「全てがプラスにはならない」
- 「目的と成果の焦点を絞らなければいけない」
- 「人によって効果が変動する」
ということです。
例えるのなら、「プロ野球選手の打撃フォームや投球フォームが人それぞれ違う。それに合わせたトレーニングも違う。」みたいなものですね。しかし、確実にその人にとっての正解はある。
同じようにボイトレにもその人にとっての正解はある。
厄介ですね。笑
プロのシンガーもだいたいこんな感じのことを語ることが多い
このように
- 録音する
- とにかく歌っていた
みたいな感じで語る人は非常に多いですね。
- 稲葉さん「息はやってる」「無理ない程度にとにかく歌え」
- 福山さん「デビュー時はやってたが、今はやってない」「歌声は歌って作るのが一番いい」
お二人とも「歌声は歌って作る」という感じですね。
ちなみに稲葉さんのやっている『息のトレーニング』。
実はこれは先ほどのリンク先の「本質的に有効なボイトレはそう多くないだろう」の記事にも書いているのですが、そんな中でも当たりのトレーニングの一つだと考えられます。
つまり、息系のトレーニングは数少ない「ほとんどの人にとってほぼ当たりとなる、もしくはハズレの少ないトレーニング」の一つでしょう。
稲葉さんがやってるのはコレです↓
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