今回は、歌唱力向上のための練習の進め方や手順についてまとめたもので、当サイトにおける基本的な考え方をまとめたページです。
「歌の練習は何をすればいいのかわからない」「練習の全体像がわからない」といったときに活用してみてください。
*当サイトは基本的にポップスなどの「マイクを使う歌唱方法」向けの内容です。クラシックなどの「マイクなしの歌唱方法」向けではありません。
歌の練習の全体像は
- 下準備
- メインの練習
- ボイトレ
- できれば取り組みたいこと
- 一定の練習期間を経過した後にすること
という5つのセクションに分けて考えます。
【下準備】
歌の練習を始める前に、下準備が必要です。ここでの下準備とは、あらかじめ理解しておくことや意識しておくべきこと。
この下準備段階は内容が少し多いですが、これらを考慮して練習するか、何も考えずにただ練習するかによって、成長に大きな差が生じるので、ざっと目を通しておいてください。
- 声変わり前・声変わり中・声変わり後のどれに当たるかをチェックする
- 自分の声の特徴を把握する
- 「自分の声の認識」と「実際の声」をすり合わせる
- 歌の必要な能力(『発声能力』と『音楽的感性』)を頭に入れておく
- 成長の3要素『練習・栄養・回復』を頭に入れておく
- ボーカリストが鍛えられるのは「生歌だけ」であることを意識しておく
①声変わり前・声変わり中・声変わり後のどれに当たるかをチェックする
歌の練習を始める前に、変声期かどうかをチェックしておくことは重要です。
- 声変わり前(〜12歳)・・・自由に歌の練習をしていいが、後に声変わりがあるので型にはめ過ぎないようにする。
- 声変わり中(12〜18歳)・・・声帯が変化している最中なので、歌の練習は慎重に行う。あまり無理をしない。
- 声変わり後(18歳〜)・・・自由に歌の練習をしていい。
*年齢はあくまでも目安であり、個人差がある。
特に大事なのは、声変わり中の人。
この時期のボイトレはやり方を間違えたり、無理をしてしまうと、大きなマイナスになる可能性もあるので意識しておきましょう。
過剰に心配する必要はないのですが、声変わり中の人は声変わりへの理解が必要だということです。
人によって差がある
女性には変化がほとんどない人もいますし、男性でも変化が小さい人もいます。声変わりの期間が短くスムーズに終わる人もいます。なので、全ての人が同じレベルで注意する必要はないでしょう。
個人個人の臨機応変な対応が必要です。
②自分の声の特徴を把握する
歌の練習をする前に、自分の声の特徴を大まかに把握しておくことも大切です。
なぜなら、声帯は人それぞれに違うものであり、その人にあったアプローチが必要だからです。
歌のトレーニングは、人それぞれ自分に適した道を進まなければいけないので、そのために自分の声の特徴を掴んでおくことが重要になります。
まず準備段階では、「話し声・普段の声」に焦点を当てます(*歌声と向き合うのは、後半にて)。
声の特徴は細かく見ると様々な項目がありますが、ここでは大事な項目を3つに絞り込んで考えます。
- 声の高さ・低さ
- 声質
- 声の太さ(深さ)・細さ(浅さ)
まずは、これらをしっかり整理しておくといいでしょう。
①声の高さ・低さ
大まかに分けると、男性の声は「低い」「普通」「高い」、女性の声も同様に「低い」「普通」「高い」という分類ができます。
クラシック音楽では、以下のように呼ばれます。
- 男低=バス
- 男中=バリトン
- 男高=テノール
- 女低=アルト
- 女中=メゾソプラノ
- 女高=ソプラノ
厳密にはもっと細かい区分があり、更に詳細になれば『人それぞれ違う』というものになりますが、一旦は簡単にこの6区分で考えると理解がしやすくなります。
「自分がどのタイプになるか?」というのは、長期間の練習をしないと明確にはわかりませんが、ある程度見当をつけることは可能です。
その方法は「自然な最低音」に着目する方法です。
*自然な最低音とは、「自然に発することができる最低音」「楽にしっかりとした声にできる最低音」のことです。したがって、「無理に出した最低音」「ギリギリの最低音」「音になるか・ならないかくらいの最低音」ではないことに注意です。
あくまでも目安ですが、リラックスした状態で、喉に全く力を入れず、深いため息をつくように「はぁ〜〜」と発した時の音階が、おおよそ自然な最低音になります。
音階の目安は、おおよそこんな感じです↓
*必ずしもこうなるとは限らないので、あくまでも目安として参考にしてみてください。
基本的には、これで自分の声の音域のタイプを予測することができます。
もちろん、声帯は”ある程度”操作できるものなので、必ずしも「声が低いから歌声も低い」「声が高いから歌声も高い」とは限りません。特に「声は低いが歌声は高い」というタイプの人は一定数います。
しかし、例えば「声が低い男性が声が高い女性のような歌声を出す」「声が高い女性が声が低い男性のような歌声を出す」など、極端に適正からかけ離れた状態はあまり現実的な話ではありません(*絶対に不可能とは言えませんが、これを実現させたければ医学的なアプローチが必要となるでしょう)。
仮に音域的に実現できたとしても、魅力的に歌えるかどうかはまた別のお話です。
声帯は「どんな状態へも自在に操作できる」というものではないため、一般的には自分の普段の話し声の音域タイプに沿った歌声になる確率が高いと言えます。
なので、自分の声帯がどんな音域のタイプなのかを考えておく必要があるのですね。
-
声帯の『音域タイプ』について【魅力的な音域帯は人それぞれ決まっている】
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②声質
自分がどんな声質を持っているのか。
ここで言う声質とは、共鳴や発音を含めた声全体の音色ではなく、『声帯部分が鳴らしている音の性質』のことです。
人の声質は、ざっくりと以下の4つのタイプに区分できます。
- 息っぽい声質
- 鳴りやすい声質
- ハスキーボイス(カサカサ型)
- ハスキーボイス(ガラガラ型)
もちろん、これはざっくりとした指標なので、「どこにも当てはまらない人」「全体的に中間な人」など、この4つでは表現しきれない声のバリエーションも存在するでしょう。個々の声は複雑で多様です。
また、声質に関しても"ある程度"操作できる範囲があるので、「息っぽい声質→息っぽい歌声で歌わなければいけない」などの絶対的な決まりはありません。
しかし、例えば、極端にカサカサなハスキーボイスの声質を持っている人が「ハスキーな成分を一切出さずに、くっきりと芯のある声質で歌う」などのことは、トレーニングだけでなんとかなる問題ではありませんね。
そういう点では、自分の持っている声質は歌声に影響を与えるものと言えます。
-
歌における声質のタイプについての研究
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③声(喉)の太さ・細さ
自分の声(喉)の太さ・細さも把握しておくことが重要です。こちらも、厳密には人それぞれの違いがありますが大まかに、
- 太い
- 普通
- 細い
の3つに分類できます。
声の太さは、基本的に骨格によって決まります。これは、骨格が声の共鳴空間を決定するためです。特に、咽頭腔の大きさは声の太さに大きく影響しています。
これらの空間は基本的に、骨格が大きければ大きいほど広く、小さければ小さいほど狭くなります。
例えば、細い声の最たるものは「赤ちゃんの声」。骨格が小さく共鳴空間がほとんどないため、声が細くなります。
逆に、バスケットボール選手のように身長が非常に高い人は、骨格が大きい分だけ共鳴空間が広いため、太い声の人が多いのですね。
もちろん、身長が低くても声が太い人もいますし、身長が高くても声が細い人もいますが、基本的には一定の相関関係があります。
声の太さ・細さに関しても"ある程度"はコントロールできます。誰しも、喉仏を思いっきり下げると太い声になり、喉仏を思いっきり上げると細い声になります。
しかし、例えば身長120cmの子供が身長2mの男性のような太い声を出すのは現実的ではありませんね。
つまり、共鳴を操作できる範囲は限られているという事実を受け入れつつ、自分の声の太さについて考えておく必要があります。
受け入れるのが難しい時もある
自分の声の特徴をすんなりと受け入れることができる人もいるでしょうが、受け入れられない人もいるはず。
自分の理想が自分の声帯の特徴と正反対であったり、自分の声に嫌悪感を抱くこともあるでしょう。人は自分にないものを求めてしまう生き物なので、これは珍しいことではありません。
そういう時は、無理に受け入れようとしなくてもいいでしょう。それに、現時点では「歌声がどうなるか」は確定していないので、全てを諦める必要はないかもしれません。
しかし、
人間はトレーニングだけではどうにもならないこともあります。例えば、身長などがそうですね。そして、声帯も同じようなものです。なので、最終的には受け入れることになるのがほとんどでしょう。
ちなみに、どうしても身長を伸ばしたい人が骨延長手術で身長を伸ばせるように、声帯も手術によって多少変えることはできます。
③「自分の声の認識」と「実際の声」をすり合わせる
これは「自分に聞こえる声」と「他人に聞こえる声」の認識のズレを小さくする必要があるということです。
なぜならそれを無視したまま練習しても上手く成長できないからです。
まず、多くの人が理解しているとは思いますが、「自分が聞く自分の声」と「他人が聞く自分の声」は異なります。
これは、骨伝導によって声帯から直接聞こえる音(骨導音)があるからですね。
なので、「自分の認識」と「実際の声」はズレが生じます。
このズレがあること自体は仕方のないことですが、ズレをしっかりと認識していないと、「自分は〇〇な声を出しているつもりだったが、実際の歌声は△△だった」というようなことが起こってしまいます。
つまり
極端な場合、「自分は良いと思っているものが実際は悪い」「自分は悪いと思っているものが実際は良い」などのようなチグハグな状況が生まれ、上手く成長できなくなってしまいます。
なので、このズレを考慮して、「自分の認識」と「実際の声」をすり合わせておく必要があります。
これはそこまで難しいことではないでしょう。
自分の声をたくさん録音して聞いたり、自分の歌っている姿を動画で撮ってみたりすることで、自然と認識のズレが修正されていくはずです。
-
歌が上手い人は『自分の声の聞こえ方』の誤差が小さい!?
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④歌の必要な能力(『発声能力』と『音楽的感性』)を頭に入れておく
歌の能力は主に以下の2つに分けることができます。
- 発声能力:声を操る能力で、「体の能力」と言えます。
- 音楽的感性:音に関する知識や判断能力で、「脳の能力」と言えます。
これらの能力はどちらも重要であり、片方が高くてもう一方が低い場合、上手く歌えません。
つまり、「歌唱力=発声能力×音楽的感性」といった公式のようにも表現できます。
さらに、発声能力は以下の4つのセクションに分かれます。
- 息
- 声帯
- 共鳴
- 発音
音楽的感性は以下の3つのセクションに分かれます。
- 音感
- リズム感
- 音色の質を判別する能力
ここから
さらに細かい部分へと枝分かれしていくのですが、まずは難しく考えずに「歌は『発声能力』と『音楽的感性』の2つの軸で考えることが大事だ」ということだけ頭に入れておきましょう。
-
歌に必要な能力を紐解く【音楽的感性×発声能力】
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⑤成長の3要素『練習・栄養・回復』を頭に入れておく
歌の成長は、スポーツの成長とよく似ています。
スポーツのように激しい運動をするわけではないですが、「体」と「脳」の能力を高めていくという点では同じなので、スポーツにおける『成長のために必要な3要素』がそのまま当てはまります。
その3つは、
- 練習
- 栄養
- 回復(休養・睡眠)
です。
『練習』が成長に欠かせないのは、多くの人が理解していることだと思いますが、『栄養』と『回復』も同じくらい重要だと考えられています。
例えば、いくら練習しても、栄養状態や回復状態が極端に悪ければ、成長しないどころかマイナスになったりもするでしょう。
極端な例だけでなく、同じ練習量であれば「栄養状態が普通」と「栄養状態が良好」であれば後者の方が成長するでしょうし、「回復の質が普通」と「回復の質が良好」では後者の方が成長するでしょう。
つまり、練習を頑張るだけでなく、その効果を最大限に引き出すためには、成長の要素である練習、栄養、回復の3つを意識しておく必要があるということ。
栄養面に関しては、こちらにまとめています↓
-
ボイトレにおける『栄養』について【歌の成長を加速させるために】
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回復(休養・睡眠)に関しては、休養や睡眠の質を上げることも大事ですが、それよりも回復の時間をしっかりと考慮することの方が大事です。
体の成長と回復の理論は、『超回復理論』や『フィットネス–疲労理論』などと呼ばれますが、要は練習の頻度をしっかりと考えることでしっかりと成長できるということですね。
詳しくはこちらにて↓
-
ボイトレの時間と頻度はどれくらいがいいのか?についての考察
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⑥ボーカリストが鍛えられるのは「生歌だけ」であることを意識しておく
下準備の最後の項目ですが、
- 生歌・・・マイクを通る前の声
- 音源の歌声・・・マイクを通った声。ミキシング(加工・編集)された声。
は別物であることをしっかりと意識して練習することが重要という内容です。
なぜなら、これを理解していないことで、歌声の解釈を間違えてしまい、練習の方向性をも間違えてしまう可能性があるからです。
もちろん、「生歌」と「音源の歌声」の違いを肌感覚で理解できている人も多くいるでしょう。音響機器の知識なんて一切なくても、感覚で理解できる場合もありますから。
しかし、この違いをあまり意識しておらず、「音源の歌声」を生歌で作ろうとするように練習してしまう場合もあります。こうなると、上手く成長できなくなってしまいます。
なので、
『ボーカリストが鍛えるのは生歌部分だけである』という意識を持って練習しましょう。
「どんな機器がどういう変化を起こすのか」などは、知っているに越したことはありませんが、詳しいことを学ぶ必要はないでしょう。
トレーニングするべきは「生歌(マイクを通る前の声)」の部分だけである。という意識を強く持っておくことがまずは大事。
-
ボーカリストが知っておくべき『ボーカルミキシング』
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【メインの練習】
準備段階を確認し終えたら、あとは練習あるのみです。
歌が上手くなるためのメインの練習は、考え方自体はとてもシンプルです。
- 今の自分の能力で歌いやすい歌をたくさん歌い込む
- 自分の歌っている姿を動画で自撮りする
この二つをメインの練習にしましょう。
①今の自分の能力で歌いやすい歌をたくさん歌い込む
歌の練習において、最も大事な練習は『歌を歌う練習』です。
「何を当たり前のことを。」と思う方もいるでしょうが、意外とこの優先順位が崩れてしまう人も多いです。
歌を歌うことよりも、「マママ〜♪」などの発声練習のような”ボイトレ”ばかりやってしまうパターンです。
右側はスポーツで言うと、「実際の試合練習をせずに、筋トレばかりしている」といった感じです。
これでは本末転倒ですね。
歌を歌わずにボイトレばかりしていると、最悪の場合、『ボイトレだけが上手くなってしまう』という変な現象が起こってしまいます。
もちろん、
ボイトレが悪いものだと言っているわけではありません。しかし、最終目的は「歌を歌うこと」です。そのためにトレーニングをしているわけですから、まずは目的の行動を最優先にして、そこから追加でボイトレ(部分的な練習)に入るということを忘れないようにしておきましょう。「ボイトレしたことない」と語るシンガーは意外といます。
-
ボイトレしないプロのシンガーがいる理由
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『歌声は歌って作る』というスタンスで、歌を歌う練習は必ずメインに。
【重要】今の自分に歌える歌から極めていく
歌を歌う練習は、
”今の自分”の能力で一番歌いやすい歌から順番に極めていく
というルールだけは守ることをオススメします。
その理由は、
- 失敗や間違いを防ぐため
- 一歩づつステップアップしていくため
- 「歌える曲」を作るため
です。
特に、『失敗や間違いを防ぐため』というのが大きいです。
例えば、よくあるのが「音域」による失敗。
- 今の自分に歌いやすい音域の歌から極め、一歩づつ次の音域の曲へと挑戦していく
- 今の自分では手も足も出ない音域の歌にいきなり挑戦する
という2つのパターンでは、安全・安心でスムーズに成長できるのは間違いなく前者で、後者は上手く成長できないリスクが高いです。
もちろん、後者が必ずしも失敗するとは限りません。
しかし、無理に高い声を出そうとして変な発声を身につけたり、音域ばかりに集中してしまいその他の能力が向上しないなど、色々な問題を抱えるリスクがかなり高く、実際にこれで失敗する人は多い。
仮に、
成功するとしても、どちらの道もゴールへの到達時間はさほど変わらないでしょう。にも関わらず、危険度が全然違う。
そういう点では、前者を選ぶ方が無難です。
さらに、歌える曲を徐々に作っていくのと、一曲も歌えない状態で届かない曲に挑戦し続けるのでは、メンタル的なキツさも大きく違ってくるでしょう。
なので、『”今の自分の能力”において、一番歌いやすい歌から極めていく』ことを推奨しています。
また、初心者のうちは歌を”なぞる”練習もおすすめです。
-
「ボイトレ初心者は何から始めるべきなのか」についての考察
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今の自分では歌える曲がない
例えば、『すごく声が低い』『極端に音域が狭い』などの場合、今の自分に歌える曲が全くないという状態になる可能性があります。
個人的には「どんな曲でも探せば必ずある」とは思っていますが、それを探すための労力が大変だったりもしますし、あまり興味がない曲だと歌いたくない場合もあるでしょう。
この場合は、工夫して乗り越えます。
- キーを変更する
- Aメロだけ、などのように歌う範囲を絞る
- (男性)女性曲のオクターブ下を歌う
- (女性)男性曲を歌う
などのように対応できると思います。
ここまですると、楽しさを減少させてしまう恐れもありますが、歌えない曲に無理に挑戦するよりはいいだろうと思います。
「音程」「リズム」「音色の質」を意識する
歌を歌う練習は、
- 音程を良くする
- リズムを良くする
- 音色の質(発声の質)を良くする
という3つの目的意識を持つと上手くいくでしょう。
なぜなら、歌の要素を分解すると『音程』『リズム』『音色の質』に分かれるからです。
つまり、
- 『音程が良い』+『リズムが良い』+『音色の質が良い』=歌が上手い
となります。
なので、『音程』『リズム』『音色の質』を良くしようと意識すれば、それは歌のクオリティを上げようと意識していることになります。
*ただし、『良い』という概念はジャンルによって違います。例えば、「ラップにおける音程が良いとは?」や、「ジャズにおける音色の質の良さと、ハードロックにおける音色の質の良さの違い」などのように『良い』という価値観自体が、ジャンルによって変動することに注意が必要です。
優先順位
音程・リズム・音色の質(発声の質)の3つはどれも大事ですが、最優先すべきは『音色の質』だと考えられます。
つまり、まずは『発声の質を良くしよう』『いい声を出そう』と考えることが最も大事だと言えます。
なぜなら、音程とリズムの高度なコントロール能力は、発声の質によって左右されるからです。
- 発声の質がいい人は、音程とリズムを高度にコントロールできる
- 発声の質が悪い人は、音程とリズムを高度にコントロールできない
という法則があるので、発声の質を最優先に考えたほうが最終的に全部取りやすいのです。
先に音程やリズムを最優先に考え、発声の質をないがしろにすると、音程やリズムを合わせることばかりに注力していまい、悪い発声を身につけてしまったりすることがあります。
一度悪い発声を身につけると、それが癖になってしまい、後から発声の質を取ろうとしても上手くいきません。
なので、まずは発声の質を取りに行くことがベストだと考えられます。
これについては、詳しくはこちらにもまとめています↓
-
『本気で歌が上手くなりたい人が何をすべきか』についての研究【ガチ勢向け】
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『テクニック』は歌の中で身につけていく
曲に挑戦する中で、その歌の中で使われている色々な『テクニック(音楽的技法)』に出会うでしょうが、それらは歌を歌いながら少しづつ身につけていくといいでしょう。
なぜなら、実際の歌の中で練習していく方が、「使い所」「使う感覚」などの実践的な経験が身につきやすいからです。さらに、お手本に引っ張られて、真似がしやすくなるというのも理由の一つです。
もちろん、そのテクニックを一つ一つ集中的に練習するのもいいのですが、実践の中で練習する方が効率がいいように思います。
②自分の歌っている姿を動画で自撮りする
歌う練習の中には、『自分の歌声を動画で撮り、それを見て自己改善する』という練習方法を取り入れることがおすすめです。
おそらく、
自分の歌う姿を見たり、声を聴いたりするのは嫌な人も多いでしょうが、歌の成長にはすごく良いものです。これに取り組むのとそうでないのとでは、大きな差が生まれるでしょう。
我慢してでも取り組む価値はあります。
動画ではなく音声だけの録音でも特に問題はないのですが、動画の方が自分を客観視しやすいでしょうから、どちらかと言えば動画がおすすめです。
さらに動画の場合、プロのシンガーと比較するという練習方法をとることもできるのもメリットです。
例えば、YOUTUBEやTik Tokなどを探せば、プロのシンガーが生歌で歌っているものがたくさんありますね。
こういう動画↓
こういう動画と自分の動画を交互に比較することで、自分の改善点が明確になり、進む道も間違えにくくなります。
自分と同じ条件で比較できることは、成長にとってとても良いことです。
ただし、一つ注意点があります。
声帯には必ず『声帯の個性』があるので、お手本を完全に真似しようとするのではなく、お手本のクオリティだけを真似することが大事です。
-
『R&Bらしい歌い方』について
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【ボイトレ】
準備の章で述べたように、歌の能力は「発声能力」と「音楽的感性」の二つで構成されています。
したがって、これらを細分化した項目を個別に鍛えることが『ボイトレ』と言えます。
どこを鍛えるかによって、トレーニング方法が変わるということですね。
ちなみに、「歌を歌う」というのは自然とこれら全体を鍛えていることになります。部分的に集中することでより効率よく鍛えられるのが、ボイトレのメリットです。
トレーニングは大きく分けると、以下のようになります。
- スケール練習
- 息のトレーニング
- 音域のトレーニング
- 息と鳴りのトレーニング
- 地声と裏声のトレーニング
- 共鳴のトレーニング
- 発音のトレーニング
- 音楽的感性を鍛える
①スケール練習
スケール練習とは、ピアノの音階に合わせて「マママ〜♪」などの声を出すトレーニングのことです(*スケール=音階)。
ポイント
「ピアノの音階に合わせて声を出す」というアクションは、発音や音階を簡略化した歌を歌う練習とも言えます。
したがって、スケール練習は歌の全般的な基礎力向上に役立ちます。
細かい効果は、
- どんな音階で練習するのか?
- どんな発音で練習するのか?
によって変わりますが、「発声能力」「音楽的感性」の両方にアプローチできるので、全般的な基礎練習になります。
ボイトレに困ったときは、とにかくこのスケール練習をやっておけば何らかのプラスにはなると思います。
*初心者の段階では、スケール練習が特に効果を感じやすいと考えられます。ただし、上級者になるとそのメリットはほとんど感じられなくなるでしょう。もちろんデメリットはなく、ウォーミングアップや声を整えるために活用できますが、やればやるだけ無限にメリットがあるトレーニングとは言えません。
-
スケール練習で歌の基礎力を鍛える【スケール練習の重要性について】
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②息のトレーニング
「息」の能力は、発声能力の土台のような役割を果たしています。
歌において息が重要な理由は、息が声の原動力だからですね。
なので、これを鍛える必要があります。
息を鍛えるとは、直接的な意味としては、肺の動きを制御している「横隔膜」「胸郭」を鍛えることになります。
しかし、それだと具体的な目標がわかりづらいので、
- 息を吸う力
- 息を吐く力
- 息の強弱・長短をコントロールする力
- 息と声帯を連動させる力
の4つが重要になると考える方がいいでしょう。
①〜③は特に説明せずともわかるとは思いますが、重要なのが「④息と声帯を連動させる力」です。
これは「声帯」部分も関連してくるものですが、息の能力がどれほど高くても、『息を活かす声帯の能力』がなければ意味がありません。
これはスポーツで言えば、「上半身だけを鍛えるか、下半身だけを鍛えるかではなく、上半身と下半身の連動が重要」みたいなものです。両方がリンクする動きが大事なのですね。
したがって、『息と声帯の連動』を意識してトレーニングすることが重要です。
-
息に声を乗せる【”息の重要性”と声帯との連動性について】
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歌における息のトレーニング、息と声帯の連動トレーニングは
がおすすめです。
③音域のトレーニング
「声帯」の部分をさらに掘り下げると、『伸縮(高・低)』『開閉(息・鳴り)』『厚薄(地声・裏声)』という項目に分かれます。
音域は、このうちの「伸縮」部分です。
声の音程を高くしたり、低くしたりというのは、基本的に声帯の「伸び(高)」「縮み(低)」によってコントロールされています。
この伸縮能力を高めることが、音域を広げるということです。
ただし、
基本的には低音域をトレーニングによって伸ばすことは難しいので、歌における音域の拡張とは主に「高音域の開発」になります。
もちろん、高音域についても個々の声帯によって魅力的な限界範囲(歌唱に使える範囲)が存在します。
-
『音域はどこまで鍛えられるのか』について【自分の音域を予測する方法】
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音域を広げるトレーニングは無理に一気に広げようとせず、ゆっくりと・少しづつ・コツコツ・慎重に広げることがおすすめです。
この理由は先ほどの【メインの練習】の章の、「今の自分に歌える音域を歌う」の部分の内容に繋がります。要するに、急に音域を押し広げようとすると、『変な発声・間違った発声』を身につけるリスクが高くなるということです。
音域のトレーニングは、多くの人が最初に一気に取り組みたくなるものですが、慎重にアプローチしましょう。
④息と鳴りのトレーニング
これは「声帯の開閉」部分です。
声帯はその開閉の度合いによって、声質が変化します。
声帯の開閉の仕組みはこの図のように簡単なものではないのですが、難しく考えずイメージはシンプルでいいと思います。
開けば開くほど息っぽくなり、閉じれば閉じるほどくっきりとした鳴りになっていきます。
これは、そのまま歌における『発声表現』の幅になります。
*この発声表現の範囲(声帯の開閉度合いの範囲)は誰しもに存在しますが、全ての人が同じ音色になるとは限りません。それはもともとの声質(声帯)が人それぞれ異なるためです。
「息」〜「鳴り」までコントロールできるようトレーニングしましょう。
息っぽい発声のトレーニングは
くっきりと鳴らす発声のトレーニングは
などがおすすめです。
⑤地声と裏声のトレーニング
声帯の厚薄(声区)の部分です。
声区とは簡単に言えば、「地声」「裏声」などの発声の種類を指す表現です。
声区は、「声帯の特定の振動パターン」「特定のピッチの一連の連続」「特定の音の種類」といった要素に基づいて声を分類する概念であり、一般的な見解では、
- ボーカルフライ(エッジボイス )
- モーダル(地声)
- ファルセット(裏声)
- ホイッスル
の4つに区分されています。
ただし、歌においては、単純に「モーダル(地声)」と「ファルセット(裏声)」の2つだけを考慮すれば十分です。
地声と裏声は日常会話でも使いますから、特に気構える必要はないかと。
地声と裏声の違いは、簡単に言うと「声帯の厚みの差」です。
声帯を横から見たときに、分厚い状態で振動しているのが「地声」であり、薄い状態で振動しているのが「裏声」。
歌は、この「厚い状態(地声)」と「薄い状態(裏声)」の両方を巧みに操れるようになることが求められます。
特に裏声は普段はあまり使わないため苦手な人も多いです。使えば使う分だけコントロールできるようになってくるので、両方を自由にコントロールできる状態を目指しましょう。
ミックスボイス
*「あれ、ミックスボイスは?」と考える方もいると思います。もちろん、それを考えること自体は問題ではないのですが、ミックスボイスには世界共通の明確な定義がありません。その結果、その言葉は色々な意味で使われ、多くの混乱を招くものとなっています。
個人的には、『ミックスボイスについて考えることは悪いことではないが、ほんの少しでも混乱したり、迷走したり、行き詰まったりするくらいなら全く考えない方がお得』だと思っています。
-
「ミックスボイスとは」についての研究・考察【そもそも存在するのか?】
続きを見る
声区全体については、こちらの記事にて詳しく掘り下げています↓
-
声区の種類について【歌においてどう考えるのがベストか】
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⑥共鳴のトレーニング
共鳴は声の増幅部分であり、
- 声の大きさ・小ささ
- 声の太さ・細さ
- 声の明るさ・暗さ
- 声の抜け感
などを調節します。
歌の共鳴は主に以下の3つです。
- 鼻腔・・・鼻の奥の空間。主に声の抜け感に関わる。
- 口腔・・・口の中の空間。主に声の明るさ・暗さに関わる
- 咽頭腔・・・声帯から口の中までの空間。主に声の太さ・細さ、大きさ・小ささに関わる
ここで一つ述べておきたいのは、共鳴のトレーニングは後回しでいい(そこまで気にしなくていい)ということ。
理由は以下の二つです。
- 現代の歌唱方法(マイクを使う歌唱方法)では、共鳴はそこまで重視されないから
- 共鳴の前段階で歌声の良し悪しはほぼ決まっているから
①共鳴が共鳴が重視されない
例えば、オペラなどのクラシックの歌唱方法(マイクを使わない歌唱方法)は、体一つで会場中に届く声が必要です。
音量を求めた結果、使える共鳴を最大限に使おうとする歌い方(喉仏を下げる・口を縦に大きく開くなど)になるのですね。
なので、クラシックにおいては共鳴は重要だと言えます。
ところが、マイクを使う歌唱方法ではそこまで大きな音量は必要ありません。マイクは口元にあり、声はマイクに通ればいいのです。
*これは準備の章で述べた、「生歌」と「マイクを通った声」の理解の部分にも繋がります。
つまり、クラシックのように音色の増幅を目的として共鳴を最大限大きくすることは、そんなに重要ではないということです。
むしろ、
②共鳴の前段階が大事
声の4要素は「息」「声帯」「共鳴」「発音」ですが、これらは順番に連なっていくので、必然的に前半部分の重要性が高くなります。
前半二つの段階で声の良し悪しが8割くらい決まっていると考えてもいいでしょう(*クラシックは別)。
さらに、息と声帯部分が未熟な状態で共鳴部分にアプローチしても、あまり意味がないことも多いです。
例えば、声帯がガチガチに固まっている状態で共鳴を操作しようとしても、上手くコントロールできません。
逆に、息と声帯部分がしっかりとしてさえいれば、共鳴はそんなにトレーニングせずとも、意識だけである程度コントロールできるようになるでしょう。
そういう点で、まずは息や声帯部分に集中した方がいいのです。
共鳴について、詳しくはこちらにて↓
-
発声における3種類の共鳴について
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⑦発音のトレーニング
発音は、声の最終段階です。
発音は主に、「あご」「歯」「舌」によって作られます。
なので、これらを改善することが発音のトレーニングになるのですが、「あご」や「歯」に関しては、トレーニングによって改善できる面が少ない。もしくは、個々の違いが大きいので、個別の対応になります。
なので、歌のトレーニングでは主に「舌」を鍛えることが中心です。
舌の動きはトレーニングによって鍛えることができますし、舌の付け根(舌根)部分は喉周辺を介して声帯と間接的に繋がっている部分でもありますので、鍛えておいて損はないです。
舌のトレーニングに関して、詳しくはこちらにまとめています。
-
舌根を柔らかくするトレーニング方法について
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発音の重要度
こちらも声の要素の4番目なので、基本的にそこまで重要ではないという考え方でいいと思います。
声優やアナウンサーであればその重要度は高くなりますが、歌においてはそこまで重要とは言えないでしょう。発音が悪くてもそれが個性的な味になることも多いですし、歌の歌詞を全く聞いてない聴き方をする人もいますから。
ただし、発音は個々に抱える問題に差があるので、何か大きな問題を抱えている場合にはその優先度は高くなるかもしれません。
また、
発音は『リズム』と深い関係がある部分でもあります。つまり、『リズムを良くする』という目的に対して発音が何らかの邪魔をしているのなら、発音の重要性は高くなると言えるでしょう。
⑧音楽的感性を鍛える
『音楽的感性』は脳の能力なので、基本的に経験値が全てです。人生で触れる全ての音楽がその感性に影響します
もちろん、そのセンスには個人差があるのも事実ですが、基本的にたくさんの音楽に触れた人ほどその能力が高い傾向にあります。
*ただし、『絶対音感』に関しては一般的に6歳頃までに身につけないと、それ以降身につけることはできません。ボーカリストには必要のない能力なので、気にする必要はないでしょう。
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絶対音感・相対音感と歌の上手さの関係性について
続きを見る
よって、音楽的感性を磨くためには
- 音楽をたくさん聴く
- 音楽理論などを学ぶ
- 楽器を練習する
という3つがオススメです。
①音楽をたくさん聴く
これはできている人も多いでしょうから、そのまま継続しましょう。
特に集中せずに何気なく聞いていたとしても、音楽的感性には何らかの好影響があるので、とにかくたくさんの音楽を聴くことが大事です。
おそらく、
『メインの練習:歌を歌う』をしっかりとやっていれば、自然と音楽をたくさん聴くことになるでしょうから、特別強い意識は必要ないとは思いますが。
②音楽理論などを学ぶ
いわゆる「座学」ですね。
音楽には色々な理論があるので、それについて学ぶことは音楽的感性の向上に繋がります。
実際には、理論を学んだ時点では音楽的感性が向上するとは言えないのですが、その理論が頭に入った状態で音楽に触れることで、感性が向上しやすくなるといった感じです。
③楽器を練習する
最も効率よく音楽的感性を向上させる方法です。
これは、次の章にも関連してくるので次で掘り下げます。
【できれば取り組みたいこと】
この章は『必ずすべきものとは言えないが、追加で取り組むことで歌唱能力の向上に役立つ可能性があるもの』『誰でもできることではないが、歌の成長を加速させるためにはできれば取り組みたいもの』という内容です。
項目は以下の二つ。
- 楽器を練習する
- マイクを使って練習する
①楽器を練習する
楽器を練習すると、音楽的感性を飛躍的に高めることができます。
なぜなら、自分で音程を演奏し、リズムを作り、音色の質への理解も深くなるからです。さらに、楽器を弾くために音楽理論を勉強することにもなるからです。
実際、多くのボーカリストは何らかの楽器を演奏できる人が多いです(*もちろん、全てではない)。
なので、できれば楽器を練習したいところです。
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楽器が弾けると歌が上手くなりやすい【楽器と歌唱力の関係性について】
続きを見る
②マイクを使って練習する
マイクを使用して歌う歌唱方法である以上は、練習もできればマイクを使って練習した方がいいと言えます。
なぜなら、それが本番を想定した形だからです。
まず、歌というものは、
- マイクを使う歌・・・現代のほとんどのジャンル。
- マイクを使わない歌・・・オペラなどのクラシック。
に分けられます。
これらの二つは同じ「歌」ではありますが、歌唱方法としては全くの別物です。
そして、その違いを生み出すのが「マイクの有無」。
ポップスシンガーはマイクを使って声を会場に届けますが、オペラシンガーは体一つで会場に響くように声を発します。
つまり、声の目的地までの距離が全く異なるのですね。
この「声の焦点距離」の違いが発声方法の違いを生み出しているわけです。
なので、クラシックの歌唱方法を練習している人は、基本的にマイクを使わずに練習します。特別な理由がない限り、そんな方法を選ぶことはまずないでしょう。
もしマイクを使った練習をずっと続けてしまえば、発声方法が徐々にマイクに頼ったものに変わり、結果としてクラシックの発声方法から遠ざかってしまう可能性があるから当然ですね。
ところが、マイクを使う歌唱方法を練習している人は、マイクのない状況で練習することも多いです。
マイクは誰でも手に入れられるものではないですし、手に入れても使える環境が限られるなどの理由があるため、これはやむを得ないことでもあります。
しかし、マイクを使わないのは、オペラシンガーがマイクを使って練習しているのと同じことをしていることになります。
なので、なるべくマイクを使用して練習した方がいいということです。
とは言え、
どうしてもマイクを使用できない場合もあるでしょう。その時は、マイクを意識して練習することが大事になります。「マイクがある状態でこの発声はどのように聞こえるか」をしっかりと意識しておけば、マイクを使わずとも上手く練習できるでしょう。
これは準備の章の「生歌」と「マイクを通った声」の理解の部分にも繋がっています。
【一定の練習期間を経過した後にすること】
これまでの内容が当サイトのトレーニング方針ですが、歌の成長は簡単ではありません。多くの時間と継続的な練習が必要でしょう。
具体的な目安などは個人差があるのではっきりとは言えませんが、ある程度の期間練習を継続してきたら、
- もう一度「自分の声帯」と向き合う
- 自分の歌い方(スタイル)を作り上げる
という二つを考えます。
①もう一度「自分の声帯」と向き合う
最初の部分では「自分の声帯の個性」に焦点を当てましたが、これはあくまで下準備の段階です。
ここからは、実際に長期間練習してみての評価となります。
たくさんの練習を積むこと(*期間は人それぞれ)で、自分の得意・不得意、可能・不可能がよりはっきりと理解できるようになります。
- 「〇〇な発声は簡単にできるが、△△な発声は上手くできない」
- 「〇〇な音色を作ると良く聞こえるが、△△な音色を作ってもいい感じに聞こえない」
- 「自分の声の特徴は〇〇だと認識していたが、歌声は意外にも△△の方が適していた」
- 「練習してみると、意外と〇〇な方向性に伸びた」
- 「この音階はいくら練習しても出せない」
などのように、自分の声の個性がはっきりと理解できるようになります。
つまり、実際に一定期間練習してみた後で、自分の声の適性を答え合わせするということ。
練習を経ての判断なので、下準備段階よりも自分の声の個性をしっかりと把握できるでしょうし、自分が進むべき道を判断できるようになるでしょう。
②自分の歌い方(スタイル)を作り上げる
自分の歌声の特徴を確認することで、
- できること・できないこと
- 得意なこと・不得意なこと
- 良く聞こえるもの・悪く聞こえるもの
- 他人に褒められたもの・向いてないと言われたもの
などが整理しました。
これを整理すれば、「自分の歌い方」というものができてきます。
当然、基本的には『できること・得意なこと・良く聞こえるもの・褒められたもの』を中心にして作り上げていきます。
- 透き通る声が得意なので、クリーンな透明感のある歌い方をしよう
- 力強い声が得意なので、パワフルに迫力ある歌い方をしよう
- 裏声が得意なので、裏声をたくさん使う歌い方をしよう
- 「オ」の母音の響きがいいので、全体的に「オ」に寄せた歌い方をしよう
などなど、細かく考えると無数にあります。
もちろん、全てを得意な領域に引っ張り込むことは難しいですが、できるだけ得意を活かすことを意識すれば良い歌声を作り上げることができるでしょう。
自分の歌い方を作り上げるためのチェック項目は、以下の記事に詳しくまとめています↓
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自分に合った歌い方を見つける【ボーカルスタイルの決め方】
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